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2014.11.10

占拠行動1カ月超える 対話は不発、デモ隊は迷走

 9月28日に「セントラル占拠」として始まった各地での占拠行動は1カ月を超えた。10月21日には特区政府と学生団体の初の対話が実現したもののデモ収束には至らず、デモ隊は政府の提示した内容に対し参加者らの意思を問う占拠地での投票を計画しては棚上げするなど迷走。占拠行動が1カ月続いたことによって経済的な打撃が懸念され、10月中に実施されると見込まれていた上海・香港両証取の相互乗り入れも影響を受けているとの見方がある。

 林鄭月娥・政務長官らは10月21日、香港専上学生連会(学連)代表との初めての対話を行った。対話は2時間、嶺南大学の鄭国漢・校長を司会に招き、双方から5人が出席。その模様は香港電台(RTHK)を通じて生中継された。
 政府側は事前に「基本法改正や全国人民代表大会(全人代、国会に相当)常務委員会の決定撤回などは現実的でない」と表明。学生らが要求する全人代常務委への補充報告提出については「各界から寄せられた意見の原文もすべて提出したほか、全人代常務委の決定前に民主派議員も共に中央官僚と会談したはず」と説明していた。これに対し学連代表は「基本法を基礎とすることは同意するが全人代常務委の決定を対話の前提とするのは受け入れられない。引き続き住民指名と立法会の職能別選挙枠の廃止を勝ち取る」と強調していた。

 対話はすれ違いのまま始まり、学連側は「政府が全人代常務委に提出した報告書は不完全で、それに基づいて全人代は誤った決定を下した」と主張。政府に補充報告を全人代常務委に提出するよう求めた。だが政府側は中央をミスリードしたことには同意せず、補充報告の提出は拒否。ただし国務院香港マカオ弁公室に報告を提出し最新の世論状況を反映させることや多元的なプラットホームを設けて2017年から後の政治体制改革を討議するなど4つを承諾した。
 22日付『香港経済日報』の消息筋情報によると、政府は仲介者から学生らが疲れて撤退の機会を探っているとの情報を得ており、特区政府が中央に報告を提出することで学生側が合意する手はずだった。だが学生側は会談後に政府を非難し撤退に至らなかったことに政府は驚がくしたという。

 学連、学民思潮、セントラル占拠行動などは23日、占拠行動の参加・支持者を対象に「広場投票」を行うと発表。政府が対話で提示した内容について意見を集めるもので、金鐘で26、27日夜に香港大学民意研究計画のアプリで行うことになっていた。当初の質問内容は(1)政府が設ける多元的なプラットホームでは17年以前の政治体制改革も討議すべきか(2)政府が国務院香港マカオ弁公室へ提出する報告には決議性または憲法的効力を持たせるべきか——だった。

 だが24日の討議を経た後、(1)政府の報告には全人代常務委の決定を撤回する要求を含める(2)プラットホームは16年の立法会議員選挙での職能別選挙枠の廃止、17年の行政長官選挙での住民指名導入を確立する——と強硬な内容に変わった。金鐘だけだった投票場所に銅鑼湾と旺角も加わった。さらに26日午後には突如、棚上げの共同声明を発表。投票形式と議題設定に対する異議や実際の効果への疑問などが上がったためで、決定前の協議が足りなかったとして謝罪した。

 28日には金鐘で占拠1カ月を記念する集会が行われた。集会には1000人余りが参加し、9月28日に警察が1発目の催涙弾を放った午後5時57分、催涙弾の総数87発に合わせ、傘を持って87秒黙とうした。学連は政府との2回目の対話の前提として、(1)政府が中央に提出する報告では全人代常務委の決定撤回を要求(2)多元的プラットホームでは公平な選挙(住民指名を含む)のスケジュールと筋道を確定——を提示。さらに政府が承諾できない場合は李克強・首相との直接対話を求めた。学連の要求は高すぎて対話実現は難しいとの声も上がっている。

証取相互乗り入れに影響も

 政府と学生の初対話前後、梁振英・行政長官は複数のメディアの取材を受け、指名委員会の機能などを説明した。19日には亜州電視(ATV)英語チャンネルで「セントラル占拠は純粋な地元の運動ではなく異なる国・地域の勢力が介入している。外国勢力は以前から香港政治に関与している」と述べたほか、基本法を読み上げ、行政長官選挙は全人代常務委の批准を必要とするため単なる特区政府の事務ではないと指摘。学連の要求する基本法を改正して住民指名を盛り込むことや補充報告を全人代常務委に提出することは、社会の一部の声だけ重視しているとの不満を招くと説明した。

 20日には『ニューヨークタイムズ』など外国メディアの取材を受け、「指名委員会の幅広い代表性とは人数ではなく社会各層の利益を考慮している」と強調。仮に人数だけを考慮すれば政策は低所得層に傾斜してしまうと指摘したほか、外国勢力の介入に再び言及。21日の会見でこれらについて聞かれ、貧困ライン設定などを挙げて特区政府は低所得層を軽視してはいないと強調。基本法が住民指名を認めていないのは各界各層が均衡に参加できるようにするためで、純粋に人口比率だけをみているのではないと説明した。外国勢力の介入については自分の憶測ではなく、政府の責任者としてそれら事情を知る責任があると述べたほか、証拠の提示については「適当な時機に適切に考慮する」と表明した。22日にはロイターなど外国通信社4社による取材で、「指名委員会の構成方法は政治体制改革の2回目の公開諮問で討論する余地があり、企業票を個人票に代えることが検討できる」と述べ、指名委員会をより民主化する方法を提案した。

 占拠行動による経済への影響も懸念される中、上海・香港両証取の相互乗り入れも予想されていた27日に始まらなかった。香港取引所(HKEx)は26日、相互乗り入れはまだ承認を得ておらず開始日時が確定していないと発表。李小加・最高経営責任者(CEO)は「実施するかどうかの問題ではなく時間の問題」として無期延期との懸念を払しょくし、占拠行動の影響を直接は肯定しなかったが「占拠が長引けば金融市場への影響は大きくなる」と述べた。だが27日付『香港経済日報』で中央消息筋は「遅れは技術的問題ではなく政治的要素による。中央はセントラル占拠によって香港の法治が打撃を受け、金融商品に対する外界の信頼に影響することを懸念している」と指摘。また中央は香港の混乱が上海証券市場に影響するのを懸念したとの見方もある。

 大衆紙『東方日報』では、国際投機筋が占拠行動で市場が動揺する機会をうかがっていることが度々報じられている。デモ鎮圧で流血の惨事となれば株式市場が暴落し、投機チャンスとなるからだ。占拠行動と相互乗り入れはあながち無関係ではないかもしれない。(2014/10/24日『香港ポスト』


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