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2014.12.12

占拠行動が終息へ 最大拠点で強制排除

強制排除前の金鐘の占拠区。近隣のオフィスビルには恒例のクリスマスイルミネーションが灯り始めた

強制排除前の金鐘の占拠区。近隣のオフィスビルには恒例のクリスマスイルミネーションが灯り始めた

 占拠行動の最大拠点だった金鐘(アドミラルティー)で12月11日、デモ隊の強制排除が行われた。占拠行動は11月半ばから明らかに下火となったが、発起人らが自首を表明するなど終息に向かう動きに反し過激派の行動が活発化。民主派政党や穏健派団体は一線を画すなど内部分裂が顕在化した。占拠行動の終息後、公開諮問など政治体制改革に向けた動きがようやく再開することとなる。

 旺角の彌敦道で11月26日、バリケードなどを撤去する裁判所臨時禁止令の強制執行が行われたが、その後も断続的にデモ隊が集まり警官隊との衝突が発生。逮捕者を所属団体で見ると社会民主連線、人民力量、熱血公民といった過激な団体に多く、ほかに香港専上学生連会(学連)、学民思潮、左翼21、土地正義連盟などが挙げられる。特に熱血公民は先の立法会襲撃でも知られる。

 学連と学民思潮は30日夜、金鐘の占拠地で集会を行った。参加者は傘やゴーグル、ヘルメットなどを装備するよう指示されていたため、行動をエスカレートさせるとみた警察は金鐘と旺角で合わせて7000人の警官を配備。集会で学民思潮は特区政府本庁舎を包囲すると宣言した。

 政府本庁舎周辺の竜和道では朝までデモ隊と警官隊が衝突し、40人が逮捕。香港島の公立病院の救急センターではけが人31人が手当を受けた。同時に旺角でも衝突が発生し12人が逮捕された。学連の周永康・秘書長は1日、政府本庁舎をマヒさせるという目標が達成できなかったことから包囲計画は失敗したと表明。セントラル占拠行動の発起人や民主派政党はこの行動から距離を置いているが、社会民主連線の梁国雄・議員、工党の李卓人・議員らは関与していたもようだ。

 セントラル占拠発起人である戴耀廷、陳健民、朱耀明の3氏は2日、翌日に自首すると発表。3人はもともと5日に自首する予定だったが、デモ隊が政府本庁舎を包囲しようとして警官隊と衝突したため、自首を繰り上げたという。記者会見では「公安条例第17条Aに違反して許可されていない集会に参加した」ことを認めたほか、その他の罪に問われることも覚悟。法治を尊重し法的責任を負うことを体現し、学生らに対しても占拠地から撤退するよう呼びかけた。民主派の重鎮であるカトリック香港教区の陳日君・元司教もともに自首するほか、理念の一致する市民もともに自首することを歓迎すると述べた。

 3日に自首した参加者らは65人に上った。発起人3人は中区警署に自首した後、約1時間で署から出て来た。逮捕者でないため記録だけ残し、必要に応じて後日警察から連絡することとなった。

 警察は占拠行動参加者のため特別に自首登録用紙を用意しており、参加した場所や犯したとみられる罪状を自分でチェックする仕組みとなっている。罪状には(1)許可を得てない集会に参加(2)許可を得てない集会を組織、参加を扇動(3)公務執行妨害(4)警官襲撃(5)刑事毀損――などを列記。戴耀廷氏は(6)にチェックしたという。許可を得てない集会への参加は最高刑で禁固5年。非合法集会の組織、扇動などはさらに重罪となる。警察側は発起人や学生リーダーを含む約200人の逮捕リストを用意しているが、逮捕スケジュールは決まっていない。またセントラル占拠側は自首する者に「自首書」を提供し自首のプロセスを説明、さらに「自首書」に書かれていること以外はいっさい質問に答えないよう指示した。

 自首した者の中には民主党メンバー14人が含まれる。占拠行動の黒幕とみられている『りんご日報』発行人の黎智英氏も中区警署前に姿を現したものの自首はしなかった。『明報』の調べによると、占拠行動に参加した民主派議員26人のうち15人は自首する意思はないと答えた。
民主派議員は1日に発表した声明で、学連と学民思潮に二度と行動をエスカレートさせないよう呼びかけた。

可決に向け民主派切り崩し

 学民思潮の黄之鋒・召集人らは1日夜から無期限ハンストを実施。3日正午に梁振英・行政長官にあてた公開書簡を発表し、政治体制改革プロセスのやり直しについての対話を要求した。これに対し行政長官弁公室は「要求は法律プロセスに反する上、非現実的で政府は同意できない。違法行為や抗争を通じた意見表明は徒労に終わる」と回答。全国政協の陳永棋・常務委員も、政治体制改革プロセスをやり直しても普通選挙の枠組みが緩和されることはなく、むしろさらに引き締められる可能性があると指摘した。学生らはすべて9日までにハンストを中止した。

 特区政府政制及内地事務局の譚志源・局長は6日、本来10月に始めるはずだった政治体制改革の2回目の公開諮問を占拠が終了次第始めることや、立候補のハードルは現在の8分の1より低くする可能性を明らかにした。だが民主党の劉慧卿・主席らは受け入れられないと表明、立法会で否決する姿勢を堅持した。

 梁長官は7日、「占拠行動は違法であるため、警察は法を執行する責任がある」と表明。占拠行動の参加者は少なくなっているものの残った人たちほど過激であり、強制排除や裁判所禁止令の強制執行の際に激しい抵抗に遭う可能性があると述べた。また梁長官は、ハンストや占拠に参加している学生は香港基本法や全国人民代表大会常務委員会の決定を理解していないと指摘したほか、学生らにその情熱を政治体制改革の残りの作業に費やし、次の公開諮問に参加するよう呼びかけた。こうした中、占拠行動の前線に立ってきた学生10人余りは新たな組織として「学生前線」を結成。学連や学民思潮とは一線を画し、占拠から撤退しないと強硬姿勢を示した。

 高等法院(高等裁判所)は1日、セントラル・金鐘の幹線道路について申請された臨時禁止令を認める決定を下した。これはバス会社の冠忠巴士集団傘下の跨境全日通が申請したもので、占拠地の中心に当たる海富中心周辺は含まれていないものの、警察はこれを機に全面的な排除を計画。警察の調べでは12月初めの金鐘のデモ隊は約300人、朝方はわずか100人しかいない。9日には強制執行の公示書が張られ、11日朝に執行するためデモ隊は現場を離れるよう呼びかけられた。一部デモ隊は撤収を始めたが、学連と学民思潮は自主的な撤退を拒否。11日は警官7000人を配備し、強制執行の後に金鐘占拠地の全面排除に着手した。

 梁長官は9日、「2017年の普通選挙を実現させるため、最大限の努力をして立法会での改革案可決にこぎ着ける」と表明。「民主派議員らは香港全体の長期的を考慮すべき」と述べたほか、民主派議員の一部は採決で他の民主派に追従するとは限らないことも明らかにした。改革スケジュールが厳しくなる中、政府は普通選挙の棚上げを避けるべく民主派の切り崩しを進めているもようだ。(2014年12月19日『香港ポスト』


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