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2014.11.29

バリケード撤去進む 退潮する占拠行動

 約2カ月にわたって占拠が行われていた旺角で11月25~26日、バリケードなどを撤去する裁判所臨時禁止令の強制執行が行われた。26日午後には遮断されていた道路すべての交通が回復。デモ隊と警官の衝突も発生し両日で約150人が逮捕された。占拠地の縮小が進み、「セントラル占拠行動」の発起人らも自首を予定しているなど占拠行動は明らかに勢いを失ったものの、政府や経済界はこれから表面化する経済面への影響に警戒を高めている。

 禁止令の強制執行が最初に行われたのは11月18日の金鐘の中信大厦周辺。中信大厦のオーナーが申請したもので、当日は数百人の警官が配備されたものの障害物の排除は順調に進み警察が介入する必要はなかった。25日はミニバス会社の潮連公共小巴が申請した亜皆老街。6000人の警官が配備され、立ち退かないデモ参加者がいたため執行官は警察に処理を要請。デモ隊と警官の衝突も発生する中で交通は回復したが、周辺では夜間に入っても激しい衝突が続いた。26日には旺角で最も広範囲に占拠されていた彌敦道。タクシー関連団体の香港計程車会と的士司機従業員総会が申請。強制執行が始まると同時にデモ隊との衝突が起きたため、執行官は警察に処理を要請。彌敦道は午後3時過ぎに交通を回復した。両日の旺角での強制執行では社会民主連線の梁国雄・議員や学民思潮の黄之鋒・召集人を含む148人が逮捕された。

 セントラル占拠発起人である陳健民氏は11月18日付『明報』に寄稿し、デモ隊の条件付き撤退を提唱した。陳氏は占拠行動を続けることが香港専上学生連会(学連)と政府が対話するカードになるか、全国人民代表大会(全人代、国会に相当)常務委員会の決定撤回につながるかに疑問を呈し、これら目標は短期的に実現できる可能性が低いため、長期的な民主運動の準備を検討すべきだと述べた。陳氏は撤退条件として2つを提案。1つは民主派議員の辞職による補欠選挙と引き換えに撤退。もう1つは占拠範囲を縮小し、特区政府本庁舎と立法会議事堂の周辺に集中させ、市民への影響を低減すること。

 この直後、陳氏と他の発起人である戴耀廷氏、朱耀明氏はカトリック香港教区の陳日君・元司教とともに12月5日に自首する意向を示した。多くの世論調査で約8割の市民がデモ隊の撤退を求めていることから、発起人らは自首によって現状を打開したいと説明。だが学連、学民思潮、民主派政党は発起人らとともに自首する計画はなく、特に学生らは警察に逮捕されるまで座り込みを続けると表明した。発起人の自首後はセントラル占拠秘書処も運営を停止するため「セントラル占拠行動」は正式に撤退する。

 香港大学民意研究計画が11月17~18日、513人を対象に行った世論調査によると、占拠行動を支持するかどうについては「支持」が27.8%、「反対」が54.7%、「半々」が15.8%。占拠行動を続けるべきかについては「続けるべき」が13%、「やめるべき」が82.9%となっている。また「占拠行動に参加したことはない」との答えは88%だった。

 全国香港マカオ研究会が香港研究協会に委託した世論調査(11月13~18日、対象1682人)では、占拠行動が全人代常務委の普通選挙に関する決定を変えられるかについて、91.2%は「不可能」、6.1%は「可能」と答えた。中央の対香港政策の変化については「変わらない」が55%、「引き締める」が30.1%、「緩和する」が7.8%。占拠行動は背後で誰かが組織していることについては「同意」が61.9%、「同意しない」が34.8%。外国勢力が関与していることについては「同意」が48.2%、「同意しない」が45.3%。占拠行動が香港社会の分裂を招いたことについては「同意」が72.8%、「同意しない」が25.5%となっている。

経済成長予測を下方修正

 特区政府は11月14日、第3四半期の経済統計とともに通年見通しを発表した。第4四半期はセントラル占拠によるマイナス影響が表れるほか、輸出も今後数カ月は緩やかな伸びにとどまることを考慮し、通年伸び率予測は8月に発表した2.0~3.0%の下限に当たる2.2%に修正した。労工及福利局の張建宗・局長も失業率を発表した際、「セントラル占拠による香港経済へ影響が出るのは数カ月先であり、低所得層の就業と収入への影響に留意する」と述べるなど、占拠行動による経済への影響が注視されている。

 香港中小型企業大連盟の調査(回答約500社)では、占拠行動による売上高の下落幅について27%が「10%以下」、42%が「10~30%」、10%が「30~50%」、11%が「50%以上」と答えた。占拠による市民の消費意欲への影響については「影響ない」が5%、「影響は小さい」が10%、「影響ある」が52%、「影響は極めて大きい」が33%だった。

 最も打撃が懸念されているのが小売業界だが、宝飾品の周大福が発表した10月1~31日の香港での売上高は前年同期比17%減、既存店売り上げは同24%減だった。同社が属する新世界発展グループ傘下ではバスの乗客量が10月に約20%減、ホテル業務の収入が10%減だったことも明らかにされた。一方、コスメショップの莎莎は占拠が始まった9月末から2週間はセントラル、銅鑼湾、旺角、尖沙咀の店舗で売上高が20~30%減少したが、第3四半期(11月16日まで)の香港・マカオ地区での売上高は前年同期比0.4%増、既存店売り上げは同2.4%減。それぞれ前年同期の同18.9%増、同15.8%増から後退したものの「最悪の時期は脱した」とみている。

 新鴻基地産発展の郭炳江・会長は11月15日の株主総会で占拠の影響に触れた。同社傘下のホテル業務の過去1カ月の収入について、MTR九龍駅のリッツカールトンは予測より10%減、セントラルのフォーシーズンズは同1~2%減、その他のホテルは同5~10%減と説明。今後2カ月の予約状況も前年同期比で減少していることを明らかにした。

 クリスマスシーズンは香港の観光業にとって書き入れ時だが、今年は落ち込みも予想されている。旅行業界代表の立法会議員、姚思栄氏はホテルの予約状況は10月半ばに緩慢になり、11月のホテル業界全体の客室稼働率は例年の80%強から70%に下がるとみる。12月の平日の稼働率も7割を下回り、クリスマスシーズンも例年の稼働率80~90%に比べ10%低くなるという。

 梁振英・行政長官は11月12日に北京の国家発展改革委員会を訪れた。メディアに対し第13次5カ年計画(2016~20年)に関する問題として、香港の物流産業の発展、広東省自由貿易区、香港の科学技術・イノベーション産業などについて協議したことを明らかにし、「特区政府はセントラル占拠問題のために経済発展をおろそかにすることはない」と述べた。だが政府が政治問題の処理で手一杯の状態が続けば経済発展の停滞も免れないだろう。(2014年12月4日『香港ポスト』)


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